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海上保安庁巡視船 PM-95 あまみ
以下の写真と記述は、1/700 海保巡視船 PM−95 「あまみ」の製作記録です。
実物資料は、海上保安協会発行 「海上保安庁 船艇と航空機」 に記載されている図面を使用し、雑誌「世界の艦船」に掲載されている、あまみ型巡視船関連記事と写真を元にスクラッチビルドしています。
尚、製作途中で、静岡ホビーショー全国模型サークル展示会の締め切り及び当日になってしまい、写真撮影の続行が出来なくなってしまいました。製作記以外は全て完成後の写真になりますので、ご了承下さい。
 製作第1日目(着工)
今回、あまみ着工の際、用意した計測器具と基材です。

上に見えるのがバーニヤ・ハイトゲージで、パーツのケガキ入れに使用しています。
値段は高く4万円程します。

中央は、言わずと知れたタミヤのノギスです。以外と精度が良く重宝しています。

下の基材は、5ミリプラ棒に0.5ミリプラ板を挟み込んで接着して船幅に合わせたものです。
既に1週間以上乾燥させています。
使用するバーニヤ・ハイトゲージは、0.02ミリまで実測可能です。
慣れると0.01ミリまで憶測計測可能になります。

ハイトゲージを使用する際は、精密定盤を使い測定力を高めます。

このハイトゲージは本尺のカーソル部にバーニヤ軸が付いていて、
ねじを回す事で微妙な位置調整が行なえ、コンマ002まで計測可能にになっています。
実際にハイトゲージで計測してケガいている所です。

写真撮影用と言う事で定盤に載せていませんが、実際は、定盤に置いて作業しています。

特にスクライバ部分の刃は鋭利で非常に硬く、鉄工用のケガキにも利用出来るものです。
勿論プラには非常に効果的にケガキを入れられます。
モーターツールで一気に船体の傾斜を削り取っている所です。

モーターツールのお陰で、ちまちまヤスリ掛けしていた作業から開放され、
結果的に時間短縮にもなり大幅な省力化に貢献しています。
荒削りを終えた船体です。

モーターツールの能力を遺憾なく発揮した工作の後は、番数の低いヤスリで表面を整え、
最終的に番数の高い耐水ペーパーで平滑に仕上げる手法を取っています。
削り出しと船首部の傾斜の切り出しを終えた船体基材です。

この時点で船首カーブをケガキ入れる為に図面を元に
曲線定規を使って0.3ミリシャープペンシルで書き込んでいきます。

自分でドラフティングもするので、曲線定規や雲形定規の類は各種所有していて、
模型製作の時にも重宝しています。
ケガキが終わった所で一気に船首カーブを仕上げに取り掛かりました。
写真は、既にカーブを切り出しを終えて、フレアーの削り出しを始める時点のものです。

船首部の形状は整形済みですが、仕上げ状態になっているのですが、
この上にファッションプレートが乗るので、最終的な整形はまだこの後になります。
裏返して見るとこんな具合です。

まだ浅いフレアーしか付いていませんが、船体から船首に掛けて伸びる
V字フレアーのラインに合わせた削り込みをこの後始めます。
船首フレアーの削り出しに大きく貢献している工具が写真のカーブナイフです。

本来は、曲線切り出し等の用途に使うようですが、
1/700では船体のフレアーカーブに合わせた削り出しが出来る事に
作業中気付いて、以来ずっとこのナイフにお世話になっています。
1日目最後の作業は船首ファンションプレートの取付けです。

いわゆる船首のカーブと傾斜に合わせた展開図面を描いた後、
プラ板に写し取ってから切り出し、現物合わせで船首部に接着していきます。

この作業の難しい点は、フレアーに合わせたナックルラインが有り、
バウとプレート部分が連続した面になっていない点にあります。
その為、船首突端部のファッションプレートは、船体と同じカーブの延長線上にあるのですが、
後に続くに従って、ほぼ垂直になっているので、工作ではその調整が注意点にになります。
船首先端は、船体と同じラインで繋がっているので接着面を削って連続した曲面に仕上げます。

それに続くプレートにはナックルラインが有るので
接着面の境から深くえぐり出すような感じでカービングナイフで削り出します。

この時点でプレートの高さを抑えるために、上辺から約2ミリ残して削り落とします。
こうする事でスケール通りのファッションプレートが見えてきます。
プレートの取付けとフレアーの削り出しが終わった船首部です。

写真では見づらいのですが、船底に向けて深いV字に整形されています。
50メートルを超す船体ですが、速力を出す為に中小型船艇に採用される
V字断面を採用している、あまみ型の特徴が、見て取れます。

ここで作業一日目が終了しました。
 製作第2日目
巡視船あまみの製作2日目です。

今日は、あまみ型巡視船の特徴である、船尾ウエルドックを作ります。

船底から約1ミリの所まで削り落として平滑に仕上げた後は、
いつものように5ミリ角のプラ棒を接着します。

丁度、横に見るとコの字になるように仕上げ、出っ張り部分は接着剤が乾いた後に、
モーターツールとヤスリで削り落としておきます。
構造が複雑な搭載艇用のウエルドックの内枠は、0.3ミリプラ板をカッターナイフで細長く切り、
角度を持たせる為に切り込みを入れてパキン!と折り曲げます。
丁度、八角形の上半分を先端部に据え付けたような形になっているので、
プラ板の性質を利用して手軽に格納部分を作り込んでいきます。

更に隙間には瞬間接着剤を充填させ、アルテコ接着剤に付属している
瞬着用の凝固粉末をふりかけて完全に隙間を埋めてておきます。
更に上面と側面を既存の船体と馴染ませる為に、瞬間接着剤を流し込んで完全固着させると共に、
ヤスリ仕上げの時に段差が出ないようにしておきます。

上面、側面共に乾燥したら、ヤスリで各面を仕上げてツライチになるように整えておきます。

この時点で船体長はオーバー気味なのですが、
整形が終えると所定の長さに船尾部分を切り落としておきます。
連続した形に仕上がった船体です。

船首部分から船尾まで船幅の変化がないのが、あまみ型巡視船の特徴というか、
PMクラスの殆どが、寸胴な線形をしています。

逆にモデライズする場合には、船幅の変化が乏しいだけに、
整形しやすく作りやすいメリットがあります。
横から見ると細長い船体の特徴が、良く見て取れます。

この後、舷側に防舷リブを取り付ける事になりますが、ここで1日の作業が終わりましたので、明日に後回しする事にしました。

防舷リブは、径の揃った伸ばしランナーが必要なだけに、充分な長さと径を確保した伸ばしランナーを如何に効率良く作るかがポイントになりますが、それは後に記述する事にします。
 製作第3日目
建造3日目に入りました。

船首ファッションプレートに補強板を接着していきます。

見ての通り、ファッションプレートの高さに切った0.3ミリプラ板を内側の逆角に合わせて切り出し、
一個ずつ根気よく貼り付けていく作業です。

ファッションプレートが付いている「あまみ」は、少しだけ船体が小さいPSクラスが、
ファッションプレートが無いだけに貧乏くじを引いたような感じです!(汗)。
でもファンションプレート付きの船は好きですが・・・(笑)
切り出した補強板を全て接着した後の姿です。

高さを揃えて船首に近い方はやや張り出しを長く、
プレート終端に近付くにつれて張り出しを短くして逆角に合わせる修正を施しておきます。

船首突端にはプラ板とアルテコ瞬着材で踏み台を付け、
更にプレートにロープホールを開口しておきます。
船首部工作が終わると舷側のリブ取り付けです。

今回は船体が大きくなったので、トップ部分のリブには初めてエバーグリーン社の0.5ミリプラ棒(#218 .020"ROD)を使用しました。伸ばしランナー作りから開放されたので作業能率が大幅にアップしました。更に0.3も有ればと思うものです。

中段と下段は、さすがに細いので伸ばしランナーを調整して接着します。いずれモデラーズ・プロユース接着剤で流し込み接着という手法です。
ちょっと息抜きに巡視艇「ゆきぐも」との大きさを比較してみました。

さすがにPMクラスとあって、50メートルを超える船体長を誇りますが、
速度を維持する為、極端に船幅が狭いのが特徴になっています。
最後に船首部のキャプスタンとハッチの設置工事を施します。

船首部に0.3ミリプラ板の台座を載せ、キャプスタンの基部となる部分は1ミリプラ棒を使い、
その上は0.5ミリプラ棒で段差を付けてキャプスタンの形状を表現します。
更にアンカーチェーンはPT社のモールドパーツを利用して接着しました。

ハッチは、0.5ミリプラ板を0.8×1ミリ角に切り出し、
ゴールドメダルのエッチングパーツのハッチカバーを載せて瞬着で固着して
それらしく表現しています。
 製作第4日目
製作4日目です。今日から上部構造物の製作にシフトします。

0.3ミリプラ板を多用して側板を寸法通りに切り出し、
0.5ミリプラ板の底板に接着していきます。
上構物の前半分は船員居住区になっていて後部は機関部と煙突になっています。
それらが一体で構成されているので、モデルでも一体に工作していきます。

側面の出入り口は一段引き込んでいるのですが、これは「ゆきぐも」製作の時と同じく、
幅に合わせてヤスリで削りこんで段差を表現していきます。後で天板を載せれば、
そのまま引き込みが表現されると言った具合です。
上構物を後ろから見た所です。

後部の段差部分にアンテナマストが建殖されるので、その欠き取りを付けておきます。
天板を載せて側板に角窓と丸窓を開けた所です。

いつものように窓は全て開口させています。
手法はいつものようにピンバイスで適宜開口させてから、
角窓は四つ角をデザインナイフで整形していくというもので、
板橋船渠ではスタンダードな手法になっています。
上構物が8割方完成した所です。これに船橋ユニットが載りますが、
これは後日の工作とします。

やはり上構物が載ると船らしいフォルムが生まれていて作っていても楽しくなってきます。
 製作第5日目
いよいよ板橋船渠が誇る、超絶?船橋窓表現技法の公開です。

一枚板を凹状に整形してから、
デザインナイフで0.2ミリ程度に切った短冊板を一個ずつ接着していきます。
この時、プラ板の下にテフロンシートを敷いておくと、
プラ接着剤や瞬間接着剤を流し込んでもプラ板がくっつかないので
作業効率が上がります。

テフロンシートは、ゆうパックの梱包テープ基部シートをとっておいたものです。
応用策としては梱包巻きテープ(布製ではないもの)が使用できます。
船橋の窓枠下部に高さを揃えた8ミリプラ板(0.5ミリ+0.3ミリ)を
寸法通りに切り出しておきます。

それに窓桟を取り付けた窓部分の板を逆角に接着していきます。
この時、既に多面構成が出来るよう、正面部と斜面部だけは予め接着しておき、
それを基部に接着しました。
面構成が良く分かるアングルです。

一枚ずつ0.7ミリ程の角窓を開けて木場面を合わせて接着していきます。
完全に固着する為に瞬間接着剤を併用して強度を確保しています。

しかし、この作業は非常に精神集中力が要求され、
製作途中に何度も息抜きをしていたら日が改まってしまいました(汗)。
上構物に船橋を仮載せした所です。
 ※5日目の途中ですが、作業を継続するので、これ以降はテキストのみの製作記事にさせて戴きます。
【船橋の工作(続き)】
この後、船橋に屋根板を接着した後、余った部分を慎重に切り落として行き成形します。
そうしないと接着部分がバラバラになってしまう可能性があるからです。
更に横板を接着して外周を作り上げ、船橋部分のブロックは完成です。
この際、船窓(四角)もピンバイスで穴明けした後、精密デザインナイフで四角く仕上げて開口しておきました。

【船体上甲板の工作】
既に上構物と船橋が形になっているので、上甲板状に載るものの殆どが出来た状態です。
その他の航海用具や細かいパーツをここで作り込んでいきます。
先ず、船首キャプスタンですが、台形状の基部は0.3mmのプラ板で作り、アンカーチェーンホールをドリルで斜めに開口。
ドリルレースで段差を付けたプラ棒をキャプスタンの位置に2個付けて工作完了です。

ボラード、ハッチ、工具箱は、プラストラクト社のプラ棒や角棒を加工して適宜箇所に設置しておきました。

船尾ボート収容口は、外面からプラ板を貼り付け中央のかんんおんびらきぶぶんにスリットを削って入れておきました。
更にヒンジ部分はプラストラクト社の0.3mm角棒で表現して、あまみ独特の形状を再現してみました。

【ファンネル工作】
ファンネル(煙突)は、独特の形状をしている上、あまみクラスだと、3ミリほどの小さなパーツになります。
しかも四隅は面取り構造になっているので、以外に手を焼くパーツですが、これも角を削って面取りしたり、
ファンネルの上部をプラ板で囲って排気筒の部分に段差を設けたりして、実船の構造に似せるように心掛けて工作しました。

【航海用具及び装備品等の工作】
全体の航海用具は、前部マスト、後部マスト、探照灯、暗視装置、ライフラクト(救命筏カプセル)。
更に装備武器として13ミリ単装機銃などがあります。これらは別に流用できるパーツが有りませんので全て手作りという事で、
一個ずつ製作していきました。
前部マストは真鍮線とプラのマルチマテリアル構成。
後部マストに関してはクロス支柱の入ったラダーマストで、これをちまちまと作る余裕がなかったので、
エッチングパーツのマスト部分で使えそうな物を適当に見付けて使用しました。
探照灯、暗視装置はプラ棒などを使い、それらしく加工しました。
ライフラクトは丸プラ棒にエッチングの梯子パーツを組み合わせて自動落下桁を表現して船体に取り付けています。
13ミリ単装機銃はエッチング板を加工してそのまま取り付けておきました。

【艤装工作】
各部パーツじゃ構造物か仕上がった所で、接着などの艤装工作をしていきます。
特にこの行程では、エッチングの手摺りパーツを付けていきますので、各部との整合を調整しながらの工作になります。

エッチングの手摺りは、船体や構造物の端部に載せるだけで強度が心配です。
最初はゼリー状瞬間接着剤で位置決めしておき、そのあとしっかりと瞬間接着剤を流し込みます。
後の塗装で更に固着できるので、板橋船渠では手摺りの接着は塗装前の工作にしているます。

【塗装】
白い船の塗装は、一般的に見ても難易度が高いと思います。白い船体と甲板の緑をキチンと塗り分ける必要があるからです。
板橋船渠の塗装班では、最初に甲板の緑を塗装してから航海用具やエッチング部分を残してマスキングして船体塗装に取り掛かります。
そうする事で、後から緑の色差しをしやすくする効果を狙っているからです。

海保船艇の特徴である青のSラインマークもマスキングで描いて行きます。
特に小さいマークなのでマスキングに苦労しますが、今期と丁寧な作業で塗り分けラインを決めていく事で、
段差のある船体にもキレイにラインマークが描けるようになります。
塗装は、塗面の段差を見せない為に全てエエブラシによる吹きつけ塗装で仕上げています。

【仕上げ】
塗装の項目と重複しますが、殆どの仕上げは塗り分けに失敗した部分の色差しやJCGロゴの他、
海保マークなどのデカール貼り付け作業に集中します。

【製作総括】
海保に限らず、白い船の殆どが、ワンオフモデルになってしまうので、船橋窓などの表現が難しい点となっています。
あまみも前面傾斜した多面構造の船橋なので、エッチングパーツの利用も出来ず窓の表現工作には非常に苦労しました。
最終的に全ての窓という窓を開口したのですが、骨が折れた工作な分、出来上がってみると、誰もが覗き込む船橋に満足してます。

惜しむらくは、船体に合ったJCGロゴマークやSラインマークが、汎用デカールとして世に出回っていない事です。
手書きでは、ロゴマークのキチンとした線が出ませんし、海保専用の汎用デカールが作られる事を望みたいものです。

以下、完成写真は後日アップ致します。
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