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W型戦時標準船
第五青凾丸〜第十青凾丸
戦時設計の車両渡船たち(1943〜1945)詳説編
図 画 解 説
概説編に引き続きここでは昭和20年8月15日迄に竣工し運用を開始した、W型戦時標準船各船の特徴を解説したい。
W型戦時標準船概論
昭和17年2月、船舶の建造修理監督事務が海軍大臣の所管となってから、船舶建造の準則かと資材節約を目的に定型化した船舶の計画建造が始められた。国内で建造される船舶が総じて標準化される中、貨車航送船は特殊船である事から一般船舶に付与された標準線と異なった形で建造を許可され設計されたのがW型戦時標準船であり、在来高性能船とは違って性能を度外視し、簡易化された低質船として建造竣工したのが第五青凾丸である。(概説で詳細記述済)

第五青凾丸に引き続き建造された六青凾は、五青凾建造時に於ける致命的設計ミスを排除して計画建造されたW型2番船である。船体ライン、及び構造物の差異は第五青凾丸から第十青凾丸まで殆ど無い。

各船の主機は、五青函が陸軍特務船に使用される筈だった日立製作所製の大型インパルスタービンを流用、六青函は再び四青凾と同じ浦賀インパルスタービンを採用したが、加熱器を省略した汽缶力量では出力も上がらず性能的に劣化。八青函以降は、2T戦時標準型タンカーの主機用として設計された甲25型タービンを連絡船用に歯車減速比を変更して使用。五青凾以外は飽和蒸気によるボイラー運転に格下げされて航行の青函航路の定時性が確保できなくなった。

第五青凾丸(W1) 第六青凾丸(W2)
船体の外見的特徴

 1、車輌甲板上部に開口された明かり取りと通風の為の窓の両端部分が第五青凾丸と同じく角形にコーナー処理
 2、右舷防舷材が船首部まで延長されている 
※六青凾以降共通
 3、六青凾は左舷防舷材が前部採光通風窓半ばまで延長されている 
※五青凾は後部採光通窓半ば迄
 4、操舵室以下の遊歩甲板室(海軍警戒隊員居室)が延長されていない 

 5、船首部の砲架台が無い 
 6、船舶保護法による煙突短縮化が施されていない 
※後に施工
 7、25mm単機銃 ※船橋上両舷に2丁
 8、13mm連装機銃 
※後部甲板上両舷に2基
船体の上面的特徴

 A、甲板上には全通の木製歩板(キャットウオーク)が敷かれている他は甲板工作の殆どを省略 ※各船共通
 B、船橋直下に機銃弾倉 ※各船共通、設置個数は不明
 C、船橋上に25mm単機銃と同弾倉を設置の為、三角床材を増設
 D、船用昇降口被 ※各船両舷同位置に設置
 E、13mm連装機銃座囲板、及び機銃用弾倉の設置(両舷) ※各船共通
船体艤装及び装備品等

 F、ボートダビットはラジアル型で両舷装備。短艇は七メートルカッターボート
 G、船尾キャプスタンは2基とするが1基はウインチを使用する。 ※各船共通
 H、上甲板にはキャンバー無
 ※各船共通

第七青凾丸(W3)
船体の外見的特徴

 1、船首部砲架台設置 ※七青凾は船首部昇降口より後ろに設置
 2、車輌甲板上部に開口された採光通風窓の両端部分がソリ状にコーナー処理 
※七青凾以降共通
 3、操舵室以下の遊歩甲板室が海軍警戒隊居室設置のため延長 
※七青凾以降共通
 4、船舶保護法による煙突短縮化が施されていない 
※後に施工
 5、船橋上に25mm機銃が設置されていない
 6、13mm連装機銃 
※後部甲板上両舷に2基
 7、25mm単機銃 ※船首砲架台に1基
船体の上面的特徴

 A、後部上甲板の木製歩板(キャットウオーク)が六青凾とは逆の左舷側に設置 ※推測による
 B、船橋上機銃設置用の三角床材が無い 
※機銃未設置の為
船体艤装及び装備品等

 C、迷彩塗装が採光通風窓より下部より塗り分け ※七青凾以降共通

第八青凾丸(W4) 第九青凾丸(W5) 第十青凾丸(W6)

船体の外見的特徴

 1、船首部砲架台設置 
※七青凾は船首部昇降口より前に設置
 2、船尾両舷に爆雷投下孔 
※八青凾以降共通
 
3、船舶保護法により煙突が約25%短縮 ※竣工時より(八青凾以降共通)
 4、13mm連装機銃 
※船首砲架台に1基
 5、25mm単機銃 ※船橋上に両舷2丁
船体の上面的特徴

 A、後部甲板上に機銃用囲い、但し機銃座は未設置
 B、船橋上に25mm単機銃と同弾倉を設置の為、三角床材を増設 
※六青凾と共通
船体艤装及び装備品等

 概ね第七青凾丸と同仕様
総  括
戦時標準船として設計建造された青函丸は、決してお粗末な船ではなかった事が、戦中戦後の建造資料を見ても分かる。それはひとえに国鉄の船舶設計陣の意地と誇りを掛けた船舶設計思想が、戦時という不条理極まりない時代にあっても消えなかった証だろう。

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